退職代行の利用者は、20代を中心に年々増えてきています。
退職代行は「即日退職」や「会社と連絡しなくていい」などメリットだらけに思えます。しかし一方で利用して後悔する人もいらっしゃるようです。
今回は退職代行で後悔したトラブル事例や、後悔しないための退職代行業者選びなどを詳しく解説していきます。後悔してしまった後の対処法もご紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
【結論】退職代行の利用後に後悔する人は少ない!
先に結論を言ってしまうと、退職代行で退職をして後悔をする人は非常に少ないです。
というのもほんの少し前までは「退職代行なんて非常識!」「逃げだ!」といったご意見が多かったのですが、現在「退職代行は退職の一つ」だと認知されつつあるからです。
その証拠に2023年6月に株式会社キャリアデザインセンターが実施したアンケートによると、「退職代行サービスを使ってみたい?」という質問に対して、6割の人に利用の意向があるとわかっています。
退職代行が退職の手段に過ぎないのなら、「使わなければよかった」という後悔はないはずです。
また同アンケートで、利用したい理由は「有給などの権利を行使して辞めたい」「退職交渉が気まずい」「退職の意志を伝えると、退職日まで不当な扱いを受けそう」が上位にありました。
適切な退職代行を選ぶと、全ての希望を叶えての退職が可能です。つまり自分にとっていい退職代行に依頼すれば、後悔するわけありません。
【やめとけ】退職代行で後悔したケース6選
退職代行を利用して、後悔する人は少ないです。しかし一部には「使わなければよかった」と後悔している人がいます。
事例1:退職代行の料金が相場より高かった
退職代行は多くの業者があり、サービスの内容や料金は様々です。そのため業者を比較してから決めないと、料金が高い場合があります。
しかし退職代行を利用する人の中には会社の職場環境や人間関係に追い詰められて、ゆっくり比較している余裕がない人もいらっしゃいます。
そのような人は、インターネット検索などで目に飛び込んできた退職代行業者に依頼してしまいがちです。
ところが退職代行は業者によって料金が異なりつつも、ある程度の相場はあります。
無事退職できてから落ち着いて調べてみると、自分の依頼した業者の料金が高いことに気づき「もっといろんな業者を見てから依頼すればよかった」と後悔するのです。
事例2:会社から直接連絡がきた
退職代行の業者はどこでも「会社とやり取りしなくていい」とうたっており、これが退職代行のメリットでもあります。
会社によっては、退職代行の警告を無視して依頼者に直接連絡してくることもあります。
しかしその際は応答せずに退職代行に連絡があったことを伝えれば、退職代行が会社に連絡をして要件を聞いてくれるので問題ありません。
厄介なのは、会社から「本人と話せないなら退職を認めない」と言われるケースです。会社にこのような対応をされると、選んだ業者によっては本人が会社と直接話さなければならなくなります。
会社と自分で退職の交渉をしなければならないなら「退職代行を使った意味がない」と後悔しますよね。
事例3:未払残業代や有給など退職の交渉ができなかった
退職代行を利用して「退職はできたけど、希望していた未払残業代や有給が叶わなかった」というケースもあります。これは料金が格安の退職代行に依頼した人にありがちです。
退職代行は依頼者の退職の意思だけでなく、有給消化などの希望を会社に伝えます。まともな会社ならば伝えるだけで了承してくれるのですが、質の悪い会社は拒否することもあります。
そこで必要になるのが「交渉」です。しかし交渉できる退職代行業者は限られており、運営元が弁護士か労働組合の業者でないとできないです。
自分の希望通りの退職が叶わないと「料金に惑わされた」という後悔になるかもしれません。
事例4:依頼した当日に退職できなかった
選んだ退職代行によっては、依頼した当日に退職できないというケースもあります。退職代行では、多くの業者が「即日退職可能」を掲げていますが、相談受付時間がそれぞれ異なります。
例えば、「メールで24時間相談受付中」の業者に朝5時に相談をしても、業者の営業時間が9時~だとなかなか返信は来ないでしょう。結局依頼するのが間に合わず、辛い思いをしながら出社するはめになります。
事例5:会社とトラブルになった
退職代行を利用すれば、安全確実に退職できます。しかし必ずしも万能ではありません。退職代行を利用して、トラブルになり懲戒解雇になるケースもあります。
例えば、依頼者が無断欠勤を続けていることを退職代行に伝えずに依頼した場合です。何も知らずに退職代行が会社に退職の意思を伝えると問題が大きくなり、懲戒解雇になる可能性があります。
そもそも無断欠勤自体が懲戒の対象なのです。しかし依頼者が直接会社に連絡をしていれば、まだ話し合いの余地があったかもしれません。
依頼前から抱えていた会社とのトラブル解決は退職代行の業務範囲外なので、解決は困難です。
事例6:お世話になった人に別れの挨拶が出来なかった
退職代行を利用すると、突然職場から消えることになります。即日退職でもそうでない場合でも、事前に「退職代行で辞めます」なんて職場の誰にも話せないです。
退職代行に依頼したときは「何が何でも辞めたい」という気持ちが先行しています。しかし退職してしまうと、お世話になった上司や仲の良かった同僚のことを思い出して辛くなるかもしれません。
「やっぱり自分で退職を伝えるべきだったかもしれない」と後悔するでしょう。
もしどうしてもお世話になった人に挨拶したいときは、退職して落ち着いてからメールなどで「何があったのか」を打ち明けるのもアリです。あなたを思ってくれている人なら、きっと理解してくれるはずです。
退職代行を利用して「よかった」という人の体験談
ここでは、退職代行を利用してよかったと感じている3名の体験談をご紹介します。あなたの状況に近い体験はないか、チェックしてみてください。
依頼してすぐに退職することができた

年齢:20代
勤続年数:2年
私の勤めていた会社は絵に描いたようなブラック企業でした。残業している人が偉いというような雰囲気があり、朝は定時の2時間前に出社し、帰宅は毎日日付が変わった頃。また変に結束を固めていようとしているのか、土日を利用したBBQなどのレクリエーションがあり、若手は必ず参加でした。毎日の仕事が忙しいのに土日にまで上司と顔を合わせていると休んだ気がせず、疲労とストレスでどんどん仕事への意欲がなくなっていきました。やってみたいと思って入った会社でしたが、このままでは仕事自体を嫌いになってしまうと覚悟を決めて退職代行に依頼しました。私の場合早朝に相談したにも関わらず、すぐに返信が返ってきて大変驚きました。後はとんとん拍子に話が進み、その日のうちに退職できました。どんな引き止めをされるかと不安だったのですが、拍子抜けです。ありがとうございました。
退職代行で最悪な上司から逃げられた

年齢:20代
勤続年数:3年半
私は病院で看護師をしていました。奨学金を借りていたので、お礼奉公期間の3年はなにがなんでも頑張ってやろうと、無理なシフトを組まれようが、長い手術に意図的に入れられようが耐えに耐えて、看護師としても自信がでてきたので、3年して上司に堂々と「辞めます」と伝えました。すると「勝手なこと言うな」の一言で片づけられ、その日から何かと上司に監視されるようになりました。揚げ足をとられたり、呼び出されたりと最悪でした。しかし嫌がらせは辞めると決めていた私の気持ちをより強くするだけでした。少し興味があって調べていた退職代行さんに連絡し、手続きをしてもらうことができました。本当は正面から堂々と辞めたかったけど、あの上司と退職でこれ以上揉めなくて良かったのは本当に有難かったです。
追加料金なしで転職サポートまでしてもらえた

年齢:20代
勤続年数:4年
退職代行の決め手は転職サポートがあったことです。私の仕事はシフト制で、なかなか希望通りの休みがとりづらく転職先を決めてから退職するのが無理でした。それに職場の上司はすごく感情的なタイプで、「退職したい」と相談したらどうなるのか不安でした。実際に退職の相談をして「辞めたら訴える」と言われて、退職できなかった人もいます。退職代行の感想としては、あっけない感じです。退職してから上司から嫌がらせ連絡でもくるかなと構えていたのですが、そんなことは一切ありませんでした。しかも転職サポートは、私に合いそうな案件を紹介してくれるだけでなく、職務経歴書の添削や面接のアドバイスや日程調整までしてくれました。ちゃんと転職先も決まって大満足です。
【後悔しない】退職代行業者の選び方を伝授
退職代行で後悔するケースはすでにご紹介した通りです。では退職代行で後悔しないためには、どのように業者を選ぶのが正解なのでしょうか?3つの選び方を解説します。
対応して欲しいサービスについて考える
退職代行での退職を成功させるなかで最も大切なのは、対応して欲しいサービスと業者の行っているサービスがマッチしているかです。
退職代行は運営元によって3つに分かれており、対応できるサービスは以下のようになっています。
民間企業 | 労働組合 | 弁護士 | |
---|---|---|---|
退職の意思を伝える | 〇 | 〇 | 〇 |
依頼者の要望を伝える | 〇 | 〇 | 〇 |
退職日の調整 | × | 〇 | 〇 |
有給消化の交渉 | × | △ | 〇 |
未払残業代・賃金の交渉 | ✕ | △ | 〇 |
未払残業代・給与の請求 | × | × | 〇 |
パワハラなどの損害賠償請求 | × | × | 〇 |
訴訟対応 | × | × | 〇 |
簡単には、このように覚えましょう。
- 「退職を伝えるだけ」・・・民間企業
- 「退職の交渉がしたい」・・・労働組合
- 「会社とのトラブルに対応して欲しい」・・・弁護士
表を見ると「弁護士の退職代行にお願いすれば全部解決する!」と思ってしまいそうですが、必ずしもそうではありません。後ほど詳しく説明します。
事前に決めた予算内で探す
退職した後に転職先が決まっていないと、安定した収入が無くなります。退職後の生活面を考えたうえでも、退職代行にあまり多くのお金をつぎ込むのはおすすめしません。
退職代行は運営元別に料金の相場があります。
運営元 | 料金相場 |
---|---|
弁護士 | 3万~10万円以上 |
労働組合 | 2.5万~3万円 |
民間企業 | 1万~5万円 |
例えば弁護士ならば、退職代行の業務が全てできます。しかし弁護士は費用が高い傾向があり、未払残業代の請求や慰謝料請求などを依頼するならさらに別途費用が必要です。
それぞれの運営元の料金相場を知ったうえで予算を決め、その範囲内で業者を探すようにしましょう。
実績や口コミをチェックする
実績や口コミをチェックすることも大切です。実績はその退職代行業者が成功させてきた退職の数です。実績が多いほど様々な退職のケースに対応し、経験を積んでいるということになります。
実績の多い退職代行業者ほど退職の知識やスキルが高いので、他の業者で断わられた案件でも受けてくれる可能性が高いです。
また悪い口コミがある退職代行業者は避けるようにしましょう。口コミは個人の意見なので、全てが信じられるわけではないです。
しかし悪い口コミを書かれてしまうということは、その業者に何らかの落ち度があったと考えられます。
「よくない業者かもしれない」というリスクを抱えて、わざわざ悪い口コミのある業者に依頼する必要はありません。
退職代行を利用して後悔した時の対処方法
退職代行を利用して「後悔」「失敗した!」というときには2つの対処法があります。
対処法①他の退職代行に依頼して対応してもらう
退職自体が失敗して後悔したときは、他の退職代行に対応してもらいましょう。退職代行で退職に失敗してから、会社に行く勇気なんてないですよね。
退職代行を使ったことが職場中にバレて、気まずい思いをするのが目に見えています。また以前にも増して嫌がらせやいじめを受ける可能性だって考えられます。
一度退職代行選びに失敗したときは「なぜ失敗したのか」考えたうえで、他の退職代行業者を探しましょう。
失敗の原因はたいてい「交渉できない業者を選んでしまった」ことのはずです。自分の予算内で弁護士や労働組合の退職代行を選べば、今度こそ間違いなく退職できますよ。
対処法②罪悪感がある時は次の職場でその分まで働く
退職代行で退職できたものの「お世話になった人達に申し訳ない」と罪悪感が消えないときは、次の職場でしっかりと働きましょう。
前の職場でお世話になった人達は、退職後のあなたが暗い顔をしながら毎日を過ごすことなんてのぞんでいません。
自分の能力を発揮しながら活き活きと働くことこそが、お世話になった人達への恩返しになります。いつか会ったときにあなたの元気な姿を見れば、喜んでくれるはずですよ。
退職代行で後悔したくない人からよくある質問
退職代行を利用して後悔したくない人達からは、日々多くの質問が寄せられています。その中でも特に多い質問についてお答えします。
退職代行を利用すると転職で不利になりますか?
退職代行の利用で転職が不利になることは一切ありません。
というのも退職代行はただの退職の手段に過ぎないので、転職活動中の書類や面接で「退職代行で退職しました」と申告することはないからです。
面接で「自分で直属の上司に伝えて退職しました」とは言わないですよね。退職代行での退職も通常の退職も同じなので、ご安心ください。
退職代行で退職したことは転職先にバレますか?
転職で不利になるかというご質問と同じく、自分で「退職代行を利用しました!」と申告しない限りバレることはほぼありません。
ただし何らかの事情で元職場に転職先を知られた場合、質の悪い会社だと転職先に退職代行のことをバラすかもしれません。
しかしそういったときも心配しなくて大丈夫です。まともな会社はそんなレベルの低い会社の言ってきたことなんて相手にしません。逆に「大変な会社にいたんだね」と同情してもらえることでしょう。
転職先に退職代行の利用がバレることはほぼありません。バレたときのことも、気にすることないです。
退職代行で退職すると後悔するケースとは?まとめ
退職代行を利用して後悔する人は、ほんの一握りです。しかし退職代行選びを間違うと、後悔してしまうケースもあります。
後悔しないためには代行を依頼したい範囲や予算、実績などを比較して、自分に合った退職代行業者を探すことが大切です。