退職代行を利用すれば、自分で退職の意志を伝えなくても退職できます。
とは言っても退職代行の流れや利用の際にやっておかなければならないことなどが明らかでないと、依頼に不安があるのは確かです。
この記事では、退職代行を利用して退職するまでの流れを徹底解説します。退職代行利用の事前準備や失敗しない退職代行の条件もご紹介しますので、しっかり最後までご覧ください。
退職代行サービスの基本情報
退職代行が依頼者に代わって退職を伝えてくれるサービスなのは、ご存じの方も多いはずです。
ところが「いつからはじまったのか」や「何がはじまりなのか」といったことはあまり知られていません。
今から、退職代行サービスの基本情報を押さえていきましょう。
退職代行が始まったのはいつから?
退職代行サービスを展開する業者が増え始めたのはほんの10年ほど前からですが、退職代行そのものはずっと以前から弁護士の業務の一環でした。
弁護士への相談には「パワハラで精神的な苦痛を受けている」「退職したいのに引き止められて労働を強要されている」といった労働問題が多数あります。
労働問題の相談で「依頼者が加害者と一緒にいることが危険だ」と判断された場合に、依頼者を守るために弁護士が代理人となって退職が行われていました。
Sさん
辞め先生
退職代行サービスは弁護士の業務の一環でしたが、今では退職代行のみを独立させた業者が増えています。
退職代行の退職成功率が100%というのは本当か
退職代行サービスを運営している業者は2023年現在では150社を超えており、各業者の公式ホームページをのぞくと、「退職成功率100%」というワードがよく見られます。
Uさん
辞め先生
労働者には憲法で「退職の自由」が認められています。会社側が人手不足だからといって無理に引き止めたり、退職の意思を無視したりするのは法律違反です。
退職代行は法律にのっとって依頼者の退職の意思を伝えるので、退職を失敗することはありません。
【即日可】退職代行の流れ|簡単6ステップ
退職代行には多くの業者があっても、退職の流れはおおむね同じです。退職代行を利用した退職の一般的な流れをご紹介します。
退職代行への相談から退職完了までは、簡単6ステップです。知っておけば、退職代行での退職がスムーズに進むでしょう。
流れ①まずは退職代行に無料相談
退職代行に無料相談をしましょう。相談する退職代行を選ぶにあたって、気をつけていただきたいポイントがあります。
- 労働組合か弁護士が運営している退職代行を選ぶ
- 代行してもらえるサービスの範囲チェックする
- 悪い評判や口コミのある業者は避ける
3つのポイントを重視して業者を選べば、悪質な業者に引っかかる確率はグッと下がるはずです。
また無料相談時にはご自身で調べた料金やサービス内容をあらためて業者に直接質問し、ホームページと実際の内容が異なっていないか確認するようにしましょう。
流れ②退職に必要な情報を退職代行業者と共有する
相談で納得できたら、退職代行の担当者と退職に必要な情報を共有します。退職に必要な情報は大まかに以下のようになります。
- 依頼者本人の名前、連絡先
- 会社の名前、連絡先、連絡する宛先(上司の名前・役職)
- 退職希望日
- 有休や未払賃金など会社と交渉して欲しいこと
- 退職の書類の送り先
たいていの業者はヒアリングシートを用意しており、シートの内容に従って回答するだけなので情報の共有は難しくありません。ご自身の希望通りの退職を叶えるためには、隠さず正直に回答するようにしましょう。
流れ③利用料金を支払う
退職代行の多くは前払い制です。退職代行業者側で入金確認が取れて、正式な契約になります。退職代行業者を利用して退職しようとする方は、「一日も早く退職したい」と考えの方もいらっしゃるでしょう。
今すぐにでも退職したいという方には、クレジットカード払いや電子マネー決済のできる業者がオススメです。
クレジットカード払いや電子マネー決済なら、どこにいても簡単に料金を支払えます。業者側でも入金確認が早くできるので、早く退職したい方には最適の支払い方法です。
流れ④退職手続きの開始
依頼者が指定した退職実行日に、退職代行の担当者が会社に電話して退職の意志を伝えます。退職代行から会社への電話が、退職手続きの開始です。
退職代行が退職の手続きを始めると、会社から依頼者の直接連絡がくることはありません。反対に依頼者から会社に伝えたいことがあった場合も、退職代行が代わりにつたえてくれるので会社に直接連絡しなくて大丈夫です。
退職代行業者と何度かやりとりしなくてはいけない場合もありますが、基本的に依頼者のやるべきことはありません。退職代行から「退職完了」の連絡がくるのを待ちましょう。
流れ⑤貸与品を返却する
退職代行から「退職完了」の連絡がきたら、会社からの貸与品を返却しましょう。勤続年数が多いほど貸与品は多くなります。貸与品リストを作成し、返却漏れがないようにしてください。
貸与品には、以下のようなものがあります。
- 健康保険被保険者証
- 社員証、ID、名札、名刺(社外で交換した名刺も原則として会社へ返却)
- 会社の鍵、オフィス入室時のセキュリティカードキー
- 会社からレンタルしているパソコン、スマホ
- 制服や作業着やユニフォーム制服や作業着やユニフォーム
- 仕事関係の書類やデータ(USBメモリやデータカード)
- 会社の経費で購入した文房具、書籍
また貸与品は漏れなく返すだけでなく、迅速に返却しましょう。返却せずにいつまでも放っておくと、会社とトラブルになる恐れがあります。
せっかく退職できても、会社とトラブルになっては意味がありません。さっさと返却して会社との縁を切ってしまいましょう。
流れ⑥退職の書類を受け取る
退職の書類を会社から受け取れば、すべての退職手続きが終わります。退職の書類が送られてくる目安は、「退職完了」の連絡から約2週間ほどです。
- 離職票
- 源泉徴収票
- 雇用保険被保険証
- 年金手帳
退職の書類は、失業保険の申請や転職先への提出書類などで必要な大切な書類です。2週間待っても届かないときは、会社に進捗を問い合わせるようにしましょう。
ご自身で会社に連絡するのが怖い方は、アフターフォローのある退職代行を選んでおくのがベストです。アフターフォローのある退職代行であれば、「退職完了」の後に発生した悩みやお困りごとにも対応してくれます。
退職代行の依頼主が行う3つのこと
退職代行を利用して会社を辞める場合、依頼者が行うことはたったの3つです。退職代行を利用して会社を辞める場合、依頼者が行うことはたったの3つです。
- 退職代行に無料相談する
- 退職代行業者に依頼費用を支払う
- 退職完了後、会社からの貸与品を返却する
退職代行とコンタクトを取らなくては何も始まりません。まずは気軽に無料相談をしてみましょう。LINEの相談に対応している業者なら、営業時間を気にせずに自分のペースで相談しやすいです。
相談してサービス内容などに納得できたら、依頼費用を支払って正式に契約をします。「退職代行してもらう前に料金を支払うのが不安」という方は、全額返金保証制度のある業者に依頼しましょう。
全額返金保証であれば万が一退職に失敗しても、支払った料金が全額戻ってきます。金銭面で損するのを防げるので、安心です。
退職代行業者から「退職完了」の連絡がきたら、貸与品を会社に返却します。貸与品を返却するときは会社に直接持ち込まなくても、郵送してしまって問題ありません。
通常の退職するときは、退職日までにやらなければいけないことが多くあります。一方退職代行で退職すれば、たった3つのことをするだけで会社を辞められます。
退職代行を利用するときやっておくといい事前準備
退職代行を利用して退職するとき、退職代行の流れでは、たった3つのことをすれば退職が完了します。
さらに退職代行を利用する前に事前準備をしておくと、よりスムーズに退職が進められるはずです。
有給残日数を確認する
会社を辞めるときは、なるべく有給をすべて消化してから退職したほうがお得です。また残っている有給の日数によって、退職代行が会社に交渉する内容が変わってきます。
- 有給0日の場合・・・即日退職もしくは退職までの2週間を欠勤扱いにする
- 有給1日~14日未満・・・退職までの2週間を有休+欠勤扱いにする
- 有給14日以上・・・有給をすべて使い切った日に退職
有給は一般的に給料明細で確認できます。しかし給料明細に記載がない場合は、人事部に問い合わせれば簡単に教えてもらえるはずです。
また会社によっては法律で定められているよりも多くの有給を付与している会社もあるので、就業規則でお勤めの会社の有給ルールを確認しておくのもいいでしょう。
貸与品の返却準備
退職代行業者から「退職完了」の連絡がきたら、なるべく早く会社の貸与品を返却する必要があります。
貸与品リストを作成してチェックしながら、返却漏れを防ぎましょう。とくに会社のセキュリティに関わるものや事業の資料などの機密情報の返却は重要です。貸与品の返却漏れがあると、会社から直接催促の連絡がくるなどしてなかなか縁を断ち切れません。
返却の催促を無視して放っておくと、業務上横領を疑われてしまいます。さらに貸与品を返却しなったかことで会社に大きな損害を与えた場合、損害賠償請求される恐れもあります。
あなたに悪気がなくても、法的に責任を問われることもあるのです。「退職完了」の連絡がきたら素早く返却できるように、貸与品は事前にまとめて郵送準備を進めておきましょう。
社宅や寮は引き払う準備をする
社宅や寮に住んでいると、退職とほぼ同時に出ていくことになります。退去までの猶予期間は、一般的に退職から約2週間のケースが多いようです。
しかしいくら猶予があったとしてもたった2週間で「新居探し」や「引っ越し業者の手配」、「荷造り」を完成させるのは難しいでしょう。
それに退職代行で退職した手前、同じ会社の社員が住んでいる社宅や寮にいつまでも居座り続けるのは居心地悪いですよね。
退職代行で退職するときは「退職完了」してから慌てないように、余裕を持って引っ越しの準備をしてください。
また退職後住まいを転居すると、退職の書類をうまく受け取れない可能性があります。退職代行を通して会社に新しい住所を伝えるか、転送の手続きをして退職の書類を確実に受け取れるようにしておきましょう。
「クズ」「ありえない」と言われても退職代行を利用すべきケース
退職代行を利用するのは、今は珍しくなくなりつつありますが、いまだに「クズ」「ありえない」という厳しいご意見は消えません。
しかしたとえ「クズ」「ありえない」と言われても、退職代行を利用するべきケースがあります。
会社に引き止められてしまって退職できない
Kさん
Tさん
どこの会社でもせっかく育てた人材を手放したくないと考えているので、「まったく引き止められない退職」ができた人はいないはずです。
しかし引き止めがあまりに強引で脅迫めいたものだと、怖くなって退職を強行するのは難しいでしょう。
退職代行を利用すれば、会社と直接連絡を取らなくても退職可能です。退職代行が代わって退職の意志を伝えてくれるので、強い引き止めや上司の脅しで怖い目に遭わずに済みます。
上司が怖くて直接退職を伝えられない
Jさん
Aさん
上司と一言で言っても、タイプはさまざまです。高圧的やパワハラ気質の上司だと、退職の申し出の後に何をされるかわからないという恐怖で退職が伝えにくいでしょう。
また大変お世話になった上司に「退職を伝えて悲しまれたり残念な顔をされたりするのがツライ」という理由で上司に直接退職を伝えるのが怖いという人もいるようです。
どちらにしても、退職を切り出した時の上司の反応が怖いことに変わりありません。
退職代行を利用すればどのような上司であっても直接退職を伝える必要はないので、退職の意志を伝える精神的な負担が大幅に軽減できます。
心身に限界がきており早く退職したい
Uさん
Yさん
体から限界のサインが出ているときは、今すぐ退職しましょう。無理して働き続けても、心身を壊して人生を台無しにするだけです。
退職代行には「即日退職可能」な業者があり、依頼すれば依頼したその日に退職手続きしてくれます。
心身ツライ状態にあるにも関わらず、「引き継ぎもせずに退職したらクズと言われるのではないか」と心配な人もいるでしょう。
しかし会社があなたを心身に限界がくるまで追い詰めなければ、退職代行で即日退職しようと思わなかったのではないでしょうか。本当のクズは退職代行を利用した側ではなく、利用された会社側なのです。
退職代行の流れが気になる人からよくある質問
最後に退職代行での退職の流れが気になっている人からいただくご質問のなかでも、とくに多いご質問にお答えしていきます。
退職代行の利用が転職先にバレることはありますか?
退職代行の利用が転職先にバレることはほぼありません。
なぜなら採用面接や転職先に提出する書類の中で「退職代行で退職した」と申告することは決してないからです。また前の職場から送られてくる退職書類にも、退職代行のことを書く欄はないです。
つまり退職代行の利用者自身が「退職代行で会社を辞めました!」と言わない限り、転職先にはバレないのでご安心ください。
退職代行でトラブルや失敗の事例はありますか?
退職代行には、トラブルや失敗事例がまったくないわけではないです。
たとえば以下のような事例があります。
- 料金を支払った途端、退職代行業者と連絡を取れなくなった
- 「退職完了」と言われたのが噓だった
- 会社と直接話さなければならなくなった
- 退職完了後、退職代行業者の対応が適当になった
ただしこれらのトラブルや失敗は、退職代行選びを失敗しなければ起こりません。退職代行を選ぶポイントは、次の「退職代行を利用して後悔するケースはありますか?」でご紹介します。
退職代行を利用して後悔するケースはありますか?
退職代行を利用して、後悔するケースはほとんどありません。しかし退職代行業者選びに失敗してトラブルになったり退職が失敗したりした方は、後悔しているようです。
退職を成功させるための退職代行業者を選ぶ条件は3つです。
- 労働組合か弁護士の退職代行を選ぶ
- 退職代行業者のサービス内容が自分のニーズと合っているかチェックする
- 悪い口コミや評判のある退職代行業者は避ける
以上の3つの条件をクリアした退職代行業者なら、安全かつ迅速に退職を成功させられるでしょう。
退職代行の流れはたったの6ステップ!まとめ
退職代行を利用して退職するまでの流れは、たったの6ステップです。少しでもスムーズに退職したいなら、「有給の確認」や「貸与品の返却準備」、「社宅や寮の引き上げ準備」を行っておきましょう。
ただしパワハラや職場のストレスで限界がきているときは、今すぐにでも退職代行で会社から脱出してください。無理して働いて心身を壊しても、会社は守ってくれません。
自分で自分を守るための一番早い手段を取りましょう。